開発秘話vol.6 フクレッシュ


特殊糸の組み合わせで、基準値を
大きく超える消臭テープを開発しました。

お客様からの課題は、洗濯を重ねても
効果が変わらない消臭テープ。

 気温の高い季節に限らず、身体を動かす際の発汗や加齢による体臭は誰しも気になるものです。日頃からお取引のあるジーンズメーカーE社のK様から、機能訴求が出来るトップスの展開を検討したいので、消臭機能を付与したテープを開発出来ないか、とご依頼があったのが2011年初頭でした。生地ではなくテープの開発を要望されたのは、汎用性が高く多くの製品に使用できるということと、出来るだけ追加コストを抑えたい、という理由からでした。また、単なる消臭効果の訴求に留まらず、洗濯を重ねても極力効果が落ちないものにしたいという厳しい課題も同時に課せられました。
 これは同年に発生した東日本大震災により、世の中の消臭機能への要望がひと際強かったという背景も関連していました。
 開発担当者はさっそく消臭糸を使ったテープの開発に取組みました。消臭性能については、繊維評価協議会の『消臭加工繊維製品認定基準』による検知管法やガスクロマトグラフ法などを用いた試験機関による結果で評価を行ないました。

試作を次々に重ね、効果を長く継続できる
究極の消臭テープ“フクレッシュ”を完成。

 試作を繰り返しましたが、消臭効果にはなかなか結びつきませんでした。消臭糸を多く使えば消臭効果は上がりますが、大きくコストアップしてしまいます。違う糸を混ぜれば極端に消臭効果は落ちてしまいます。これではお客様の要望をクリアできません。糸の本数を変えてみたり、細くしてみたり、密度を調整したり、生地の伸長率を変えてみたりしましたが効果は認められませんでした。
 そこで日本だけでなく海外にも目を向けて消臭糸の情報を集めました。試作を重ねた結果、日本の消臭糸と相乗効果を生み出せる消臭糸を探しあてたのです。
 驚いたのは、この異なる消臭糸との組み合わせが日本の消臭糸100%の時より高い効果を発揮したという事です。消臭可能な臭気成分が増え、全体に消臭効果が上がりました。
 悪臭を掴んで分解させるという消臭機能を化学結合させた糸と、多孔質の穴に臭いを溜め込む糸。これらの糸は、洗濯する事(水洗いする事と日光に当てる事)でその機能を復活させるという共通点を持っていました。異なる2種類の消臭メカニズムを持つ事で、10回洗濯後にも関わらず、極めて高い消臭性能を維持出来る商品を開発することが出来ました。
 私たちはこの商品に“フクレッシュ”と名付け、より広く使用していただけるよう、ある程度の在庫を備蓄して対応出来るようにしています。

“フクレッシュ”は機能面から
ブランドのサポートを行っています。

 商品化した“フクレッシュ”はジーンズメーカーのE社様、キッズアパレルのN社様、ワークウエアメーカーのO社様などで採用、「商品に付加価値が付いたことで販売の説得力に役立っている」という評価や、共に開発に携わったK様からは「これぞ、キング・オブ・消臭テープ」というコメントまでいただきました。フクレッシュはさまざまな製品に使われ、現在では累計で約100万メートルを生産しています。
 今後の課題としては硫化水素やアセトアルデヒドなどの臭気を効果的に消臭する商品を開発する事です。これが可能になれば“フクレッシュ”は更にいろんな製品で利用されることになるでしょう。