開発秘話vol.2 ダメージネーム


ピカピカ新品の、ヴィンテージを作りました。
アパレル企業からの評判も高いオリジナル商材。

失敗作の中にダメージネームの
原石が隠れていました。

新品の織ネームでありながら、まるで古着に付いているタグのようなビンテージ感を持っているのが、ダメージネームです。そもそもの発端は、織ネーム生産現場の技術者が、製織で失敗したものの中に生地が擦り切れたように見えるネームを目にした時「これは面白い」と思ったことに始まります。偶然の産物ですが、かすれ具合が心地良い雰囲気を持っていたそうです。当時はダメージジーンズの人気が根強い頃で、ジーンズがダメージを受けているのに、織ネームがピカピカの新品だと不自然ではないかと、企画部門のデザイナーに相談したところ、「面白い、ぜひビンテージ感のあるネームを商品化させましょう」と、開発がスタートしました。

自然な雰囲気を出すために
毎日顕微鏡を覗いていました。

最初の頃は“適当に組織を壊して、ところどころ傷を入れれば良い”程度に気軽に考えていました。ところがいざ織ってみるといかにも不自然で全く面白くありませんでした。何度も試行錯誤しているうちに“原点に戻ろう”と思い、失敗作を入れてあるゴミ箱の中から、擦り切れたような良い感じの雰囲気を持つ織ネームを全て拾い出しました。それらを一枚一枚顕微鏡でのぞきながら、壊れた組織のパターンをいくつもいくつもスケッチに描き出し、共通するダメージ組織を見つけました。次に不自然にならないようにするために、“アスファルトを走っていて転んだイメージ”を頭に描きダメージの角度や長さを配置するように心がけました。それ以外にもヴィンテージウエアの参考書籍を研究したり、素材もポリエステルや綿を使ってみたり、型の試作も繰り返しました。その結果、新品でありながらヴィンテージの風合いを持つネームが完成したのです。

織ネームの表現には
結局、終わりがないんですね。

実はダメージネームにもっと渋さを加えようと柿渋染を施してみたことがあります。柿渋染は太陽光にさらす事を繰り返すのでお天気次第です。染めた後、屋根に干して夕方に取り込み、また染めて翌日の朝から干してを5日間繰り返しました。その後、セイロで蒸して鉄媒染し水洗いして仕上げました。少量を試したときは我ながら上手くできましたが、量産になると、なかなか思ったようにはいきませんでした。ブランド副資材の仕事はあわててできるものではありません。織ネームの新しい可能性を見つけるためには、いつまでも勉強を続けていないと駄目ですね。